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外交官特権をフル活用【アンダルシア】 [書籍にドロップキック!!]

アンダルシア

アンダルシア

 

■ヒトコト感想
外交官黒田シリーズ。捜査権を持たない黒田が、どのようにして事件を解決していくのか。今回はスペインフランス、アンドラと3ヶ国の警察を相手にするため、外交官としての特権がかなりポイントとなっている。日本であれば、あっさりと警察に追い払われるところ、海外で日本人が関わる事件での付き添い外交官であれば、相手も邪険には扱えない。そんな特別な立場という優位もあれば、捜査権がないという不利な部分は最後までつきまとう。一人の女性をめぐり3ヶ国の警察が右往左往する。ある意味黒田も翻弄さているが、日本人を守ろうとする黒田の徹底した考え方というのが、物語を通して伝わってくる。映画は見ていないが、本作との違いが気になるところだ。

ストーリー

ヨーロッパの小国・アンドラで殺人事件発生。外務省邦人保護担当の黒田は、アンドラからのSOSを受けてスペイン・バルセロナから現地に向かい、一人の日本人女性と出会う。彼女は何者なのか。ふくれあがる疑念とともに、黒田にも危険が迫る。外交官は、どこまで捜査にかかわれるのか。自身のアイデンティティまで問われかねないぎりぎりの状況を切り開いていく黒田だが、そこには巧妙な罠が張り巡らされていた。

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心霊写真の謎をさぐる?【小暮写真館】 [書籍にドロップキック!!]

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

 

■ヒトコト感想
購入したマイホームが元写真館であるがために、心霊写真を調査することになる英一。1つの写真を手がかりに、そこに写りこむ謎を推理していく。関係者から話を聞き調査する雰囲気は「楽園」に近いかもしれない。ただ、楽園ほど暗い雰囲気はなく、どこかほのぼのとしている。そのため、謎が解けたとしても「そうだったのか」というサラリとした感想しかない。後半になると、心霊写真の調査屋から、だんだんと人との繋がりの話にシフトしていく。謎を解く過程で、人の気持ちを探る場面があるのだが、そのままの流れで1人の女性との関係が描かれていく。強烈なインパクトがあるわけではない。日常にある人間関係の苦労が、ほのぼのと描かれている。当人たちには重要なことなのだろうが、同じような経験をしてきた人には、心に響く作品かもしれない。

ストーリー

花菱英一の両親は、結婚20周年を機に念願のマイホームを購入する。その家は、もと 写眞館だった築33年の怖ろしく古い家だった。「小暮写眞館」の看板をそのままに していたため、ある日心霊写真が持ち込まれる。英一は、その謎解きに乗り出すが・・・。

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心が落ちているときは読むべからず【落下する夕方】 [書籍にドロップキック!!]

落下する夕方 (角川文庫)

落下する夕方 (角川文庫)

 

■ヒトコト感想
8年ものあいだ一緒に暮らした恋人と別れる瞬間。男女の違いはあれど、その場面を読んだときに、言いようのない心のざわつきを覚えた。別れを告げられたその瞬間、今までの幸せな生活は一気に崩れ去り、二度と元には戻らない。取り返しのつかない事態となっても何もできない。さらには、相手が心奪われたのが一度しか会ったことのない人物だとわかると、もはや心は崩壊するしかない。辛い場面からスタートする本作。その後も、元彼が熱を上げる華子との奇妙な共同生活が描かれる。なんだかよくわからないが、終始気持ちが不安定なまま読み進めてしまった。自由気ままに生きる華子に、心乱されながら、どうしようもない現実をただ受け入れるしかない。なんだか無性に悲しい物語だ。

ストーリー

梨果と八年一緒だった健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。逃げることも、攻めることもできない寄妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち…。

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人の意思が現実を変える【ディスコ探偵水曜日 中】 [書籍にドロップキック!!]

ディスコ探偵水曜日〈中〉 (新潮文庫)

ディスコ探偵水曜日〈中〉 (新潮文庫)

 

■ヒトコト感想
上巻よりもさらに独特な流れがある。上巻は未来からやってきた17歳の梢やパンダラヴァーなど、不思議な魅力があった。本作は暗病院終了の事件をただいろいろな探偵が推理し、その結果とんでもないことになるというだけだ。それにしても、ある探偵が推理し、それが間違っていると怪死する。かと思えば、死んだはずの探偵が生き返っていたり、人の意思によって現実が変わるというなんでもありな理論をそのまま押し通している。はっきりいえば、ミステリーとして正しくはない。ぶっ飛びすぎて、これがミステリーだと言われて納得できる人はいないだろう。ミステリー風のとんでもない物語だ。にもかかわらず結末がどうなるのか気になるのは、なぜだろうか…。

ストーリー

蝶空寺嬉遊、桜月淡雪、美神二瑠主、名探偵たちは華麗な推理を披露してゆく。果たして、ミステリー作家・暗病院終了の怪死とパインハウスが秘めた謎は解明できるのか。そして、二〇〇六年七月十五日二十三時二十六分にいったい何が起こるのか?真実は逃げ水の如く近づけば遠ざかる。「無駄ですよ。この事件絶対終わりませんよ」。行け、ディスコ、世界がお前を待っている。

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ピンチを乗り切る新たな仕事【サンシャイン・クリーニング】 [映画にドロップキック!!]

 

■ヒトコト感想
姉と妹の再生物語とでもいうのだろうか。過去の栄光にすがりながら先の見えない生活を続ける姉・ローズと、何をやっても長続きしない、やりたい放題の妹・ノラ。二人は偶然出会った事件現場のクリーニングという仕事を通して変わっていく。二人の性格の違いとローズの息子が問題を抱えていたり、父親がへんてこなものばかりを売り歩いていたりと、姉妹の周りの環境は決して良いとはいえない。それでも、二人が新しい仕事にやりがいを見出すのは元気がでる。決して人に誇れるような仕事ではないかもしれないが、必死に頑張る姿を見ると、楽しくなる。ただ、そんな生活がいつまでも続くはずもない。周りの心優しき人たちがあるからこそ、成り立つ物語だろう。

■ストーリー

高校時代はチアリーダーアイドル、30代の今はシングルマザーでハウスクリーニングの仕事をする傍ら、かつての恋人と不倫中の姉・ローズ。妹・ノラは父親と実家暮らしを送っている。ローズは家族のピンチを乗り切るため、妹と一緒に事件現場をクリーニングする、ちょっと危ない“清掃業”をスタートさせるが…。

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男4人の徒歩の旅【明日のマーチ】 [書籍にドロップキック!!]

明日のマーチ

明日のマーチ

 

■ヒトコト感想
山形の工場で派遣切りにあった男4人が、東京まで徒歩の旅にでる。派遣切りの実情と、派遣社員が正社員へと這い上がる難しさが描かれるかと思いきや、旅物語となっている。山形から東京まで徒歩で旅するとはどういうことなのか。ひたすら歩き、腹が減ればその辺の店で食事をし、寝るのは野宿。季節が夏であれば日本は野宿でも生活できるのだろう。派遣切りの悲壮感よりも、野宿の旅の楽しさばかりが印象的だ。野宿には何が必要で、どんなルールがあるのか。仕事に疲れた現代人が、ふと原始的な生活に憧れるのに近いかもしれないが、ものすごく魅力的に思えた。何かをアジテートするために歩くのではなく、ただ楽しいから歩く、そんな感じだ。

■ストーリー

時速4キロの行進に特に意味なんてない。だけど―野宿して見上げた満天の星の下で、廃校の暗い教室で、気がついた。この国は思ったよりもキレイだし、俺たちって思ったよりも逞しいんだ。哀れんでなんか欲しくない。4人のマーチは、やがて数百人の仲間を得て、国をも動かすムーブメントになっていき…。

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将棋のような伏線の数々【盤上の敵】 [書籍にドロップキック!!]

盤上の敵 (講談社文庫)

盤上の敵 (講談社文庫)

 

■ヒトコト感想
我が家に殺人犯がたてこもる。妻を助けだすために男がとった行動は…。まるで将棋やチェスのように、序盤ではなんのためにそんなことをするのかわからないが、終盤になるとそれが活きてくる。すべてが計算された流れなのかもしれないが、最後になんともいえない爽快感がある。現実離れした事件と結末だが、エンターティメントとしては上質だ。殺人犯や妻のキャラクター付けがしっかりされており、物語全体が奥深いものとなっている。純一が妻を助けるためにとった行動を補完するように、様々な物語が構築されている。すべての要素が揃ったからこそ、最後の荒唐無稽な結末であっても爽やかですっきりとした感覚を持つのだろう。

ストーリー

我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子が人質にされた。警察とワイドショーのカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム!末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。はたして純一は犯人に王手(チェックメイト)をかけることができるのか?

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劇団は貧乏があたりまえ?【シアター!】 [書籍にドロップキック!!]

シアター! (メディアワークス文庫)

シアター! (メディアワークス文庫)

 

■ヒトコト感想
貧乏劇団ものだと石田衣良の「下北サンデーズ」を思い出すが、本作は同じ貧乏劇団でも物語の方向性は違う。下北が貧乏劇団の出世物語ならば、本作は劇団というものがどのようにして成り立っているのかがメインに描かれている。劇団を商業的に黒字化するのはどれほど大変で、どのようなことに金がかかるのか。まったくの素人であっても、劇団運営の大変さが十分理解できるだろう。そして、劇団ものには定番なのかもしれないが、劇団員たちの熱さというのが伝わってくる。極度のM気質かと思うほど、貧乏劇団を楽しんでいる。金に無頓着で好きな演劇をやる。このあたりは、貧乏劇団員の誰もがもつ持病なのかもしれない。恐らく本作の続きがまだあるのだろうが、この劇団の先行きが気になって仕方がない。

ストーリー

小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。

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生きるか死ぬかの真剣勝負【ダークゾーン】 [書籍にドロップキック!!]

ダークゾーン

ダークゾーン

 

■ヒトコト感想
冒頭から将棋を連想させるSFホラーとなる。闇の中、突如として軍艦島で怪物を使った将棋がスタートする。なんの説明もなく進む物語に、読者は塚田と同様に混乱することだろう。しだいに状況がはっきりしてくると、知り合いたちが姿を変えた魔物を使い、相手の王を倒すという奇妙な将棋的世界だということがわかってくる。この異型の将棋が恐ろしいゲーム的な要素はあるが、やけにリアルでお遊び的な雰囲気がなく、上質なホラーのような説得力がある。命を賭けた異型の将棋と交差するように、現実世界のエピソードが描かれていく。この現実からどのようにしてダークゾーンへと繋がっていくのか。現実世界の人物たちが、魔物へと姿を変え戦う。ゲーム的だが、リアルな恐ろしさがある。

ストーリー

情報科学部学生で日本将棋連盟奨励会に属するプロ棋士の卵である塚田は闇の中で覚醒した。十七人の仲間とともに。場所も状況もわからぬうちに始まった闘い。人間が異形と化した駒、“敵駒として生き返る戦士”などの奇妙な戦術条件、昇格による強力化――闇の中、廃墟の島で続く、七番勝負と思われる戦いは将棋にも似ていた。現実世界との連関が見えぬまま、赤軍を率いる塚田は、五分で迎えた第五局を知略の応酬の末に失い、全駒が昇格する狂瀾のステージと化した第六局は、長期戦の末、引き分けとなった……。

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30目前の女二人【ホリー・ガーデン】 [書籍にドロップキック!!]

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

 

■ヒトコト感想
30目前の女二人が主人公。ガチガチの男目線で読むと、女同士の親友というのは、なんてめんどくさいものだろうと思ってしまう。微妙な年齢となり、男に対する考え方も様々、お互いあまり深く干渉はしないが、常に気にしている状態。お互いの性格を知りつくしているだけに、よけいな軋轢を生まないよう、考えながら発言する。外部からは自由気ままなシングルライフと見えていたとしても、内には解消されない様々な問題がある。女同士の親友の、外側の綺麗な部分だけでなく、内に秘めた思いまで文字にした作品。男が読むと、めんどくさい関係だと思うが、同世代の女性が読めば共感できるのだろうか。女性の率直な意見を聴いてみたい。

ストーリー

果歩と静枝は高校までずっと同じ女子校だった。ふと気づくといつも一緒だった。お互いを知りすぎてもいた。30歳目前のいまでも、二人の友情に変わりはない。傷が癒えない果歩の失恋に静枝は心を痛め、静枝の不倫に果歩はどこか釈然としない。まるで自分のことのように。果歩を無邪気に慕う中野くんも輪に加わり、二人の関係にも緩やかな変化が兆しはじめる…。

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